ゼミ 4/26

第2回のゼミについてまとめておきます。

自分としての備忘録も兼ねています。興味のない方はごめんなさい。

 

今回読んだのは『シルバー民主主義の政治経済学』です。

 

シルバー民主主義の政治経済学 世代間対立克服への戦略
 

 図書館になかったので全編PDFファイルで読む羽目になりました。200ページくらい?

印刷するのも紙がえらいことになるのでひたすらスマホとにらめっこです。疲れた…

 

さて、日本においては、高齢者が政治的な意思決定に積極的に働きかける「シルバー民主主義」化が進行していると言われています。

でも、それって本当にそうか?というのが本書の出発点です。

確かに高齢世代への社会保障は拡大していますが、同様に若い世代への支援も充実されてきており、必ずしも高齢世代のみに偏った政策が採られているわけではないのが現状です。

そのため、日本の現状はむしろ政治家が高齢者を票田とみなしてその意思を忖度する「シルバーファースト」状態であるといえます。そして、高齢者の増加と若い世代の投票率の低下がシルバーファースト現象を加速させています。

 

とはいえ、高齢者向け社会保障(年金制度など)も若い世代向けの支援策(子育て支援など)も等しく拡大されているのが現状です。そして、その財源は増税と全年代向け社会保障の削減で賄われることになります。

そうするとどの世代も負担は増加するわけですが、高齢世代よりも若い世代の方が負担期間が長いのでより損をします。

さらに、まだ政策決定権を持たない将来世代はもっと損をします。

 

この構図を防ぐためには、民意による変革が必要です。

そのため、適切な情報公開と予測の提示で利他心に訴えかける必要があります。

この二つを独立して行う機関として第三者機関を設置することで市民の啓発につながり、不平等のない社会政策が実現するという論調でした。

 

ゼミの中で議論になったのがこの「第三者機関」の機能可能性です。

情報開示と予測の公開をしたところで関心の無い層には届かないというような悲観的な意見も出ましたし、そもそも同様の機関は現在でも存在しているとも言えます。

独立性の維持も議論の余地がありますし、権威を与えすぎると民主制とのギャップが生まれてしまうということでなかなか難しいところです。

対策として外国から監査チームを招聘することで独立性を担保することも一案として出ました。全体としては「あっても困らないかもしれないが、改革のための決定打にはならなさそうだ」という意見が優勢でした。

 

また、民主制の限界を指摘する意見もありました。民意はあくまでも代表の選出にのみ関わり、実行については関与するべきでないという意見もあり、また民意が多大な影響力を持つ政治システムの中では(選挙がなく、民意の暴走に対する歯止め役となるはずの)官僚が機能不全に陥っているという論もあります。

要するに、民主主義の関与できる範囲をどこまでにすると適切かという点に議論が集約されます。

代表制を取る以上、民意のかかわる範囲は代表の選出過程と住民投票のような特別な範囲に限定されるべきで、政治の側からは過度な民意の尊重は不要であるというのが結論でした。

 

それにしても民主制ってきちんと機能するのが非常に難しいシステムですね…

一人ひとりが政治主体であるという意識をしっかりと持っていないといけません。